
全身麻酔は意識消失を主たる目的とする。
容易に投与でき、作用発現が早く、興奮期がないという利点がある。 一方で、最終的には脳から脂肪組織へ再分布し、体内蓄積が多くなるという欠点を持つ。
GABA受容体に結合し、GABAの作用を増強する。脂質溶解性が高いため、脳関門通過を通過して中枢神経系に到達しや すく、短時間で麻酔作用を発揮する。
抗痙攣作用を持つが、脳全般の機能を低下させる。
GABA受容体に結合し、GABAの作用を増強する。
このため、 受容体が飽和すると ceiling effect を生じる。
グルタミン酸NMDA受容体 のアンタゴニストである。
呼吸抑制が極めて強くヒスタミンを分泌するなどの副作用をもつため、喘息では禁忌となる。 ヒスタミン分泌は細動脈血管を拡張させて低血圧を招く。
モルヒネの80倍の力価をもち、現在のオピオイド系麻酔薬の主流。 循環器系に対する抑制作用がないため、心疾患の麻酔に繁用される。
バルビツレート系静脈麻酔薬。
抗痙攣作用を持つ。
呼吸抑制が強いのに加えて、特に交感神経の抑制が強いために喘息には禁忌となる。
このためポルフィリン症には絶対禁忌となる。
ベンゾジアゼピンは中枢神経においてGABAa受容体のクロールイオンチャネルを開き、さらにGABAの受容体 への親和性を高めることによって神経細胞の脱分極を抑制する。 その結果、抑制性伝達物質であるGABAの作用が亢進する。ただし受容体が飽和すると ceiling effect を呈する。
すなわちカルシウムイオンチャネルが開きにくくなり、伝達物質の放出が抑制され、シナプス前抑制をもた らすことになる。
グルタミン酸NMDA受容体 のアンタゴニストである。 大脳皮質は徐波となるが、辺縁系は覚醒波を示すため、解離性麻酔薬と呼ばれる。 呼吸抑制が低いため自発呼吸が可能という利点があるが、悪夢を見るという欠点をもつ。悪夢はベンゾジア ゼピンを併用投与すると防止できる。
大脳皮質は徐波となるが、辺縁系は覚醒波を示す。
このため血圧上昇作用や気管支拡張作用がある。したがって喘息や低血圧に適するが、高血圧には禁忌となる。
呼吸抑制が低いため自発呼吸が可能という利点がある。
悪夢はベンゾジアゼピンを併用投与すると防止できる。
モルヒネと同じくオピオイド系静脈麻酔薬であるが、モルヒネの80倍の力価をもち、現在のオピオイド系麻酔薬の主 流となっている。
特に麻酔の初期導入に頻用され、使用量は10〜50μg/kgである。
循環器系に対する抑制作用がないため、特に心疾患の麻酔に繁用される。 モルヒネに比べてヒスタミン分泌促進作用がほとんどないが、呼吸抑制は強い。
肝臓で急速に代謝されるため蓄積性が低く、オピオイドとともに麻酔の維持に利用される。 2〜2.5mg/kgを静脈内投与して麻酔導入を行なう。
吸入麻酔薬は肺胞から血液中に溶解し、脳を含めた体内の各組織に分布して初めて麻酔効果を発揮する。麻酔薬の吸 入から脳内組織に到達するまでに一定の時間を要するが、動脈血濃度および脳内濃度は速やかに肺胞濃度と平衡に達 することがわかっているため、吸入濃度が肺胞濃度と等しくなった時点で麻酔の導入が完了したと考えてよい。
気管支拡張作用を有するため喘息に適するが、アドレナリンと併用すると不整脈を惹起する。
疼痛刺激を与えたときに50%の患者で体動があるときの肺胞内麻酔薬濃度であり、吸入麻酔の力価を表す指標とな る。 すべての吸入麻酔薬に適応でき、各吸入麻酔薬のMACは相加的であることがわかっている。
血液1mlに溶解するガスの量。ガス相と血液相で分圧平衡に達したときの分圧比。 これが小さいほど血液に溶解する麻酔薬の量が小さくなり、肺胞気と血液の分圧が等しくなるまでの時間が短くな るので、導入が速くなる。
この値は麻酔の強さに比例する。
高濃度のガスと低濃度のガスを同時に吸入させると、高濃度のガスが大量に血液に取り込まれ、その結果として 低濃度のガスの肺胞内濃度が上昇する現象。 麻酔薬の導入を速めるときに利用される。
以下の経路をとって作用が発現する。
肺胞換気量が大きく、機能的残気量が少ないほど導入が速やかとなる。 また心拍出量が大きいと肺胞から多くの麻酔薬が運びさられて肺胞気濃度の上昇が遅れるため、導入が遅れる。
以下の特徴をもつので使用に注意が必要である。
気管支拡張作用を有するため喘息に適するが、アドレナリンと併用すると不整脈を惹起する。 また悪性高熱症 malignant hyperthermia のトリガーとなりうる。
痙攣誘発作用を持つ。
刺激臭を持つ。代謝率が低い。
血液/ガス分配係数が0.63
以下の特徴をもつので使用に注意が必要である。
亜酸化窒素の投与を中止するとそれまで血中に溶解していた亜酸化窒素が急速に肺胞に拡散し、肺胞内の酸素分 圧が低下する現象である。 これを防止するには吸入中止後数分間は100%濃度の酸素を投与する必要がある。
体内の閉鎖腔はほとんどが窒素で占められており、亜酸化窒素は窒素よりも血液への溶解度が30倍ほど高い。 そのため窒素が閉鎖腔から血液に溶解して出ていくよりも、吸入された亜酸化窒素が血液に溶解して閉鎖腔内に 拡散する速度のほうがまさることになる。 したがって気胸・イレウス・空気塞栓などでは亜酸化窒素の使用は禁忌となる。
強力な鎮静効果を持つが、呼吸抑制はほとんどない。
気管支拡張作用を有するため喘息に適するが、アドレナリンと併用すると不整脈を惹起する。 また悪性高熱症 malignant hyperthermia のトリガーとなりうる。
異常な高熱と酸素消費量の増大ならびに二酸化炭素の蓄積を呈し、適切な治療を怠ると死に至る。 特に神経筋接合部遮断薬(サクシニルコリンなど)との併用で生じることがある。
MACは2前後と揮発性麻酔薬の中ではもっとも大きい。血液/ガス分配係数が0.63と非常に小さく、導入および覚醒 がきわめて速い。
神経筋接合部を遮断することによって筋弛緩作用をもたらす。
ニコチン型受容体においてアセチルコリンと競合する。 拮抗剤にはネオスチグミンなどのアセチルコリンエステラーゼ阻害剤があり、 シナプス間隙でのアセチルコリン濃度を上昇させて筋弛緩剤と拮抗する。
副作用は低血圧とヒスタミン遊離作用。このため喘息には禁忌。
ツボクラリンと異なり、ヒスタミン遊離作用を持たない。 持続時間はパンクロニウムよりも短く、肝臓からの排泄が主である。
腎からの排泄が主であるため、腎不全では作用が遅延する。
脱分極型に対する特異的な拮抗剤はない。
ニコチン型受容体に結合して脱分極を惹起するがシナプス間隙のアセチルコリンエステラーゼによって分解され ないため、受容体に結合したまま再分極を迎える。 しかし数分の後に血漿中の偽アセチルコリンエステラーゼによって分解されるので、作用時間は極めて短い。
副作用としては、本剤とハロタンを併用すると悪性高熱症 malignant hyperthermia を生じることがある。
非脱分極型筋弛緩剤である。 ツボクラリンと異なり、ヒスタミン遊離作用を持たない。 持続時間はパンクロニウムよりも短く、肝臓からの排泄が主である。
結合しうるアセチルコリン受容体の数を減少させて、終板の電位を下げることによって活動電位の閾値に達しない ようにする。
拮抗剤にはネオスチグミンなどのアセチルコリンエステラーゼ阻害剤があり、 シナプス間隙でのアセチルコリン濃度を上昇させて筋弛緩剤と拮抗する。
ニコチン型受容体に結合して脱分極を惹起するがシナプス間隙のアセチルコリンエステラーゼによって分解され ないため、受容体に結合したまま再分極を迎える。 しかし数分の後に血漿中の偽アセチルコリンエステラーゼによって分解されるので、作用時間は極めて短い。
このように作用消失が通常の薬物のように再分布ではなく、血漿中での代謝によって行なわれる点が本薬剤に極めて 特徴的である。
副作用としては、本剤とハロタンを併用すると悪性高熱症 malignant hyperthermia を生じることがある。