Mタンパク M-protein とは尿中あるいは血中に出現する単クローン性免疫グロブリンを意味する。 単クローン性IgG,IgA,IgM,IgD,IgEのほか、単クローン性L鎖(Bence-Jonesタンパク),単クローン性H鎖などをさす。
骨髄腫とは、形質細胞が単クローン性に増殖する腫瘍性疾患であり、単一の免疫グロブリンをモノクローナルに産生 し分泌する。 B細胞が分化の最終段階で腫瘍化したもので、骨髄に局在しながらも骨髄内に多発するために多発性骨髄腫と命名さ れた。
好発年齢は高齢者であり、慢性に経過するものから腎不全によって急性にしに至る症例まで臨床経過が症例ごとに多 彩である。
転写因子 BSAP をコードする Pax-5遺伝子の変異が発症に関係していると考えられているが、このほかにも多数の因 子が関与すると言われる。 原爆被爆者の追跡調査から、放射線被爆後に数十年を経て本症を発症する頻度が高いことが判明している。
IL-6は腫瘍細胞を増殖する作用を持つ。
骨髄腫細胞はMタンパク(単一の免疫グロブリンまたはその軽鎖であるBence Jonesタンパク)を産生して種々の臓器に 障害をもたらす。
腫瘍細胞から遊離される物質(破骨細胞刺激因子 OAF)が破骨細胞を活性化することによって全身的な骨の融解が 起こる。 造血が行なわれている赤色髄に腫瘍細胞が存在する部位に生じる。
骨髄腫細胞の増殖が他の造血を抑制するため。
骨髄腫患者の尿中に排泄される異常タンパクで、免疫グロブリンのL鎖が遊離したもの。 もっぱらL鎖のみが産生される骨髄腫をBence Jones型という。 Jonesタンパクは尿細管を損傷して骨髄腫腎を招くほか、他臓器に沈着してAL型アミロイドーシスを生じる。
Mタンパクによって血液の粘性が増加し、これによって細小血管の循環障害を来たす。
Mタンパクは分子量が大きいため腎障害を来たして初めて尿中に漏出する。やがて慢性腎不全に発展する。
舌炎の疼痛、皮疹、心機能低下をもたらす。肝臓に沈着すると肝腫大を呈する。
腎機能の悪化と溶骨に起因する。
Mタンパクではないが腫瘍細胞から産生され、腎障害を招く。
貧血による全身倦怠感と骨病変による疼痛が主要な症状となる。
本症を特徴づける病変であり、また患者の日常動作能力を左右する。
β2Mは腎障害と関係する。
尿中に単クローン性のL鎖タンパクが検出される。
骨質破壊による打ち抜き像 punched out が見られる。好発部位は頭蓋骨・骨盤骨・上腕骨・大腿骨・肋骨である
成熟した正常なB細胞表面に見られるCD19が腫瘍細胞では多くの場合陰性となり、かわってCD38やCALLA(CD10)が発 現している。
腫瘍細胞と正常の形質細胞を形態から区別することはできない。
高γグロブリン血症によって血液の粘性が増大するからであり、本症に特異的ではない。
形質細胞の増加が見られる。
予後不良であり、危険な免疫抑制を行うため、治療には検討を要する。 なおβ2-ミクログロブリンが予後因子としてもっとも重要であると言われている。
本症の腫瘍細胞は細胞周期が長いため、化学療法は奏功しにくい。
melphalanとpredonisoloneによる二剤併用療法である。
vincristine,adriamycin,dexamethazoneによる三剤併用療法である。
特にIgA型に有効性が高いと言われている。
多くの症例は高齢者であり、骨髄腫細胞を根絶することが困難なことから、その成績は必ずしも良好ではない。
B細胞が形質様細胞まで分化した段階で腫瘍化したものであり、IgMのMタンパクを単クローン性に産生する。
多くは思春期においてへルペスウイルスのEBウイルスに初感染するによって発症する良性リンパ節疾患である。 特に臨床症状が急性リンパ性白血病に類似するため、鑑別を要する。
一般的な感染経路は飛沫感染や接触感染である。
気道粘膜で増殖し、さらにB細胞に感染して増殖する。膜表面に抗原が表出されるとCTLが増殖する。
EBウイルスはB細胞に感染する。感染B細胞は細胞膜上にウイルス抗原を表出させ、その抗原を CD8+T細胞に抗原提示する。 そうして活性化されたCD8+T細胞は感染B細胞を排除するためにCTLへと分化を遂げて増殖する。
特に異型リンパ球(CD8+T細胞)が出現する。
おそらくウイルスによるリンパ球の活性化が原因であろうと考えられている。
VCA-IgM,IgG,EBNA,EBDRなどの抗体価が上昇する。IgGではなくIgM抗体を検出することが重要である。
異種赤血球を凝集する抗体(異好抗体)を検出する。ただし日本では陰性となる症例が比較的多い。
無治療でも自然軽快するので経過観察となることも多い。
免疫系が非常に亢進されており、アンピシリンなどを投与すると薬剤性発疹を生じるので、抗生物質投与は禁忌 である。
クリオグロブリンとは5度に冷却すると出現するIg分画の一つで、IgGとIgM に属するγグロブリンである。
赤沈は遅延するがCRPは偽陽性を示す。
リンパ組織における腫瘤形成を主体としたリンパ球の悪性腫瘍であり、母地となるリンパ組織にはリンパ節とリンパ 節外がある。
なお悪性リンパ腫はリンパ球の成熟過程で発生する腫瘍であり、幹細胞から分化する過程において未熟なままで発生 する腫瘍は急性リンパ性白血病となる。
30才以下の若年者に多い。
由来は今だ不明であるが、ほとんどがリンパ節に発症し、リンパ節にそって連続性に進展する。 好発年齢は若年者と高齢者の二峰性を示す。
リンパ球に由来し、リンパ節からも節外からも発症し、病変が非連続性に進展する。 日本では欧米と異なり、ホジキン型よりも非ホジキン型の方が多い。 高齢者に多い。ただし小児では非ホジキン型が悪性リンパ腫の9割を占める。
リンパ節の濾胞構造が消失する。
Bに該当しないもの。
6ヶ月間に10%以上の原因不明の体重減少があり、38度以上の原因不明の発熱および盗汗がある。
由来は今だ不明であるが、ほとんどがリンパ節に発症し、リンパ節にそって連続性に進展する悪性リンパ腫である。
組織像で必ずReed-Sternberg cellやホジキン細胞が見られ、炎症症状と免疫不全症状を特徴とする。
ただし急性では非連続的に病巣が起こりうる。
背景に小リンパ球が多数存在する。予後良好。
線維によって病変が結節状に分画される。RS細胞の変種である窩内細胞 lacunar cell が特徴。 ホジキン病の初期病変と考えられ、予後良好。
もっとも代表的な組織型であり、RS細胞が多数見られる。
病変部にリンパ球が著しく少なく、かわって線維化が顕著。予後不良である。
これは腫瘍細胞であるRS細胞に対して反応性に集まってきた正常リンパ球であると考えられている。
なお近年RS細胞にEBウイルスのゲノムが発見されている。
ホジキン病は化学療法によく反応する。
アルキル化剤、ビンクリスチン、ステロイド剤、プロカルバジンの多剤併用療法。
adriamycin,bleomycin,vinblastin,dacarbazineの多剤併用療法であり、ホジキン病に対する近年もっとも標準 的な化学療法である。
ホジキン病以外の悪性リンパ腫の総称である。 リンパ球に由来し、リンパ節からも節外からも発症し、病変が非連続性に進展する。 ホジキン病よりも予後が悪いことが多い。
大部分はホジキン病と異なり、TあるいはB細胞に由来している。 Sezary症候群や菌状息肉症もT細胞起源であることが判明しており、非ホジキン型悪性リンパ腫として扱われること もある。
特定の染色体転座がいくつか報告されている。特に免疫グロブリン遺伝子やT細胞受容体遺伝子の再構成に関して生じ るものが多い。
染色体8q24上のc-MYC遺伝子や染色体11q13上のcyclin D1、染色体18q21上のBCL-2遺伝子などが、染色体14q32上の免 疫グロブリン重鎖(IgH)遺伝子内にあるエンハンサー配列近傍に転座し、その結果、これらの遺伝子の転写が活性化 されると考えられている。
LSG分類では増殖パターンと腫瘍細胞の大きさの観点から分類する。
正常のリンパ濾胞構成細胞に類似し、結節を形成して増生する。濾胞性はB細胞由来。 t(14:18)が多い。
結節を作らずにびまん性に増殖し、リンパ節の濾胞構造が消失したもの。要治療となる。
成熟した細胞がびまん性に単調に浸潤する。
非ホジキン病のなかではこれだけが未熟なリンパ球に由来する。
幼弱なBリンパ球が腫瘍化したもので、EBウイルス感染が原因となる。
病変部にポートリエ微小膿瘍 Pautrier's microabscess を形成する。
病巣が非連続的に進展するので放射線療法には適さない。
各種の抗癌剤を組み合わせた多剤併用療法を実施する。
cyclophosphamide,adriamycin,vincristine,prednisoneの多剤併用療法である。アドリアマイシンは強力な 心筋障害の服用作用があるため、8サイクルで終了させる。 ただし予後不良群に対してはG-CSFや自家抹消幹細胞移植と併用することで投与量を増加させる。
皮膚原発の節外性リンパ腫の特殊型。成熟したCD4+の抹消性ヘルパーT細胞が活性化されて腫瘍化する 抹消性T細胞リンパ腫。
抹消血中にセザリー細胞が出現する。
MALTと総称される粘膜関連性のリンパ組織
から発生する非ホジキン型のリンパ腫である。
B細胞性リンパ腫で、極めて予後良好。
なお近年、ヘリコバクター・ピロリとの関連が示唆されている。
腫瘍細胞が腺管上皮内に浸潤して形成した粘膜上皮内の病変。