
思考障害は概念的には思考形式の障害と思考内容の障害とに2大別されるが,臨床的には思考障害といえ ば思考形式の障害をさし,妄想など思考内容の障害は別扱いにするのが一般的である.思考形式の障害は さらに思考過程(思路)の障害と思考の体験様式の障害の2つに分けられる.
脈絡のない考えが自己の意志によらず,次々と自動的に生起する。
関連する観念がなかば随意的に,なかば自動的に次々と生起する 。
観念群の間に脈絡が失われる。
思考過程にブレーキがかかり,その進行が渋滞する 。
突然に思考の流れが停止し,会話が中断する 。
一々の細部の陳述にこだわり,当初の思考目標にいつまでも到達できない 。
異常な確信に支えられた訂正できない観念。
妄想発生に関して了解不能で心理学的連続性が断続したもの。
患者の精神状況,精神症状から二次的に発生し,内容についても心理的に了 解可能なもの。
意識とは、外界からの刺激を受け入れ、自己を外界に表出することのできる心的機能を意味する。 意識障害とはこの認知機能と表出機能が低下した状態である。
意識の量的障害であり、意識水準の低下として現れる。
意識の量的および質的障害であり、意識の広がりや方向性が障害される。
軽度ないし中等度の意識混濁とともに激しい精神運動性興奮や幻覚を伴う。
覚醒はしているが意識内容が障害された状態。
時、人、場所が分からない状態。
自分の名前がいえない状態。
現在のところ覚醒していないが、刺激に反応して覚醒可能な状態である。
現在、覚醒しておらず、覚醒する可能性もない状態である。
譫妄は急性脳症候群の主型であり、意識混濁・幻覚・不安などが加わった特殊な意識障害である。 可逆的であり、意識障害の中では意識変容に分類される。
L-dopa など。
患者は強い不安・恐怖状態にあり、体動が激しく、幻覚も出現する。 その期間の記憶はないか不完全である。急性に始まり短時日で経過する。
禁酒後数日で出現する、強度の禁断症状。 頻脈や発汗、下痢など強度の自律神経亢進症状を呈し、全身性の粗大な振戦をみる。
血管性痴呆でみられる譫妄で特に夜間に生じやすい。
記名力減退、失見当識、作話 confabulation を三大症状とする。 ウェルニッケ脳症によって不可逆的に脳の機能が障害されたことに起因する。
思考が止めどなく沸き起こり、それを自分の意志で抑えることができない状態。精神分裂病の初期にみられる。
意識が清明であるにも関わらず、その内容が支離滅裂である状態。高じると言語新作となる。
自分の意志に関係なく、思考が中断する状態。それとともに会話も突然中断される。
通常躁状態に特有の思考障害で、高揚感に伴って考えが次から次へと浮かんで流れていく。一見豊かな 内容を持っているが、内容にまとまりがない。 観念連合の亢進があるが、意味内容によるものよりも音連想によって行われる。
抑欝状態に特有の思考障害で、思考の進行が遅くなり、観念の連合も円滑でなくなる。
思考内容の異常であり、異常な確信に支えられた訂正できない観念である。 病的心性に基づいた判断によって,状況からみて現実的・合理的にあり得ないと考えられる事柄を,薄弱 な根拠だけから事実であると強く確信するに至る思考(内容)で,通常の説得・検証・経験などによって 訂正不可能なものをいう.
妄想発生に関して了解不能で心理学的連続性が断続したもの。精神分裂病に特徴的な妄想である。
周囲の世界が何となく変化してきて、何か大きな事件が起こりそうな不気味な予感。 世界が今にも没落するのではないかと強く確信し、切迫感を感じさせるもの(世界没落体験)。
何の動機もないのに、「自分は神の子だ」などといった観念が浮かんできてそれが確信されるもの。
何の動機も理由もないのに、突然、実際の知覚に特別な意味づけがなされ、それがそのまま確信されるもの。
患者の精神状況,精神症状から二次的に発生し,内容についても心理的に了解可能なもの。
自己を過小評価する妄想であり、鬱病でよく見られる。
強迫とは、自らのうちに"強く迫るもの"があり、その不合理性を自覚しつつもこの"迫るもの"の力に抗しきれず、繰 り返して思考あるいは行為せざるを得ない様態を指す。
自分では不合理であることが理解されている。
自分の意思や理性に反して自己に無縁なものとして現れる。
自分の意志で押さえようとすればするほど強い不安が生じてくる。
外界に実在する知覚対象を誤って別のものとして知覚すること。
対象への注意が不十分なために生じる。
不安や恐怖あるいは期待感などに基づく錯覚。
大空の雲が人の顔に見えたりなど、不完全な感覚材料から明瞭な錯覚像が作り出されること。
これまでに全く未経験の情景を見て、既に同じものを見たことがあると感じる体験。 側頭葉てんかんで見られる。
見慣れているはずの外界が自分にとって初めて見るものとして疎遠に感じられる体験。
知覚対象が存在しないのに、それが存在するかのように知覚する体験。
脳が腐って流れ落ちるなど、体感の異常な知覚。
知能とは、外界の状況を分析し判断する環境適応能力や学習能力を言う。
新しいことを記憶する能力、新しいことを創造する能力。30才頃をピークとして衰退してくる。
従来から蓄積されてきた知識や、これに基礎をおく判断や思考、あるいは技術的能力など。 老化とともに衰退するわけではない。
自分と他人の区別が曖昧となった状態。
分裂病における自我意識の障害に起因する、思考の体験様式の異常である。
快・不快をはじめ喜怒哀楽などの意識現象を感情という.
躁病・酩酊・進行麻痺にみられる。
鬱病・進行麻痺・神経症・精神分裂病に見られる。
てんかん・小児・ヒステリー・痴呆に見られる。
老年痴呆・進行麻痺・脳外傷・脳腫瘍に見られる。
表面的な朗らかさで、感情に深みがない状態。破瓜型分裂病に見られることが多い。
精神分裂病の興廃期に見られる。
気分変調の高じたもので、脳血管性痴呆で見られる。
些細な刺激で攻撃性を表す状態で、躁状態や癲癇に見られる。
情動変化が生じるような刺激があっても感情の変化がみられない状態で、精神分裂病の慢性期に多く みられる。
同一対象に対して相反する感情が起ることであり、分裂病に多く見られる。
巣症状とは、脳の限局した器質的病変があると、それに対応して生じてくる症状を意味する。
言語野が損傷された結果として、既に習得されている言語表象の操作機能が障害されて言語によるコミュ ニケーションに破綻を来たした状態。
前頭葉にあるBroca運動性言語中枢の損傷に起因する。 概念中枢は保たれているため言語理解は可能であるが、Broca中枢の障害により自発語および復唱が不 可能となる。
皮質下運動言語中枢が障害されたことにより、Broca失語と同様に言語理解は可能で自発語と復唱が不 可能となるが、Broca中枢が温存されているので自発書字は可能である。
概念中枢からBroca中枢に至る経路が障害されるため、言語理解と復唱は可能だが、自発語は不可能で ある。
側頭葉にあるWernicke感覚性言語中枢の損傷に起因し、言語理解と復唱は障害される。 概念中枢からの運動経路が温存されているために自発言語は可能となるが、言語理解を伴わずに自発 言語だけが発せられるためにその内容は支離滅裂なものとなる。
皮質下感覚中枢の障害に起因する。言語理解と復唱は障害されるが、Wernicke中枢から概念中枢を経 てBroca中枢へと至る経路が温存されているので意味のある自発語が可能である。
聴覚性言語中枢から運動性言語中枢への伝導路が切断され、特に復唱が困難となる。
主に左大脳半球を含んだ広範な病変の際に右片麻痺とともに生じるもので、言語理解をはじめとして自 発語や復唱さらには書字すらも障害される。
言葉の喚起が障害される喚語困難が特徴的な症状となる。 喚語障害とは、特定の言葉を必要に応じて想起していうこと(呼称)が困難が状態をいう。
四肢の知覚および運動機能は保たれているが、一定の目的運動や行為を正しく行なうことができない状態。
自動的な動作は可能だが、命令にしたがって行為ができなくなる。
運動の順序が混乱する。
個々の運動障害はないが、外空間や身体空間における構成行為が障害され、たとえば一定の図形を書い たりすることができなくなる。
失認とは、感覚が正しく入力されているのに、それを正しく認識できない障害。
手指失認 finger agnosia に計算不能 acalculia・書字不能 agraphia が合併したもの。 優位半球の頭頂葉の障害に起因する。
手指失認に左右失認・計算不能・書字不能が合併したもの。優位半球の頭頂葉の障害に起因する。